CookieとはWEBサイトへアクセスした際にユーザーの情報を保存するファイルを指します。例えばECサイトで商品を購入する場合に、カートに入れたままサイトを離れてもその状態が保持されるのはCookieのおかげです。
今回はCookieレス時代の到来と題して、現代において個人情報の取得に規制がかかる原因や、それによるマーケティングへの影響から対策まで幅広く見ていきます。
Cookieレス時代の幕開け
Cookieレスとは、サイトにアクセスした際の情報を保存するCookieが一部制限される動きを指します。「一部」と表現したのは、Cookie全てが廃止されるわけではないからです。
CookieにはファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの2種類あります。
前者はWEBサイトの運営元から発行されるもので、そのWEBサイトでのみ適用されます。後者はWEBサイトの運営元以外、例えば広告が掲載されている場合にはその広告の運営元から発行されるもので、複数のサイトにわたって適用されます。
これらのうち、規制が厳しくなっているのが後者のサードパーティーCookieです。その結果、サイトを横断してのユーザーの行動を追跡することができなくなります。
このようなサードパーティーCookieの規制強化をきっかけに、Cookieレス時代を迎えようとしています。
Cookieレス進行の背景
プライバシーの観点から、ユーザーの許可なく行動履歴を追跡することが個人情報漏洩のリスクにつながるとして問題視されるようになったため、サードパーティーCookieを規制する取り組みが進んでいます。具体的には以下の2つの側面からのアプローチです。
- 法律による規制
- プラットフォームによる規制
欧州やアメリカなど世界中でプライバシー保護に関する法律が制定されており、日本でも同様にプライバシー保護に関する法律が2022年に改正されたばかりです。
また、AppleやGoogleといったプラットフォーム各社もデバイスやブラウザ自体の仕様を変更することでサードパーティーCookieを制限、廃止する取り組みが進められています。
従来のマーケティングへの影響はあるのか?
許可なく個人情報を第三者に見られる心配がないという点で、ユーザーにとってはCookieの規制にメリットがあります。しかし企業にとっては、ユーザーの行動履歴を追跡できなくなることでマーケティング手法を変える必要も出てくるでしょう。
行動履歴をもとに、ユーザーの興味を惹くような広告を掲載することができない、あるいはCookieによる個人情報の保存期間が短くなることで広告の効果を正確に測定できないなどの問題が考えられます。
Cookieの利用制限によるマーケティングへの影響は少なからずあります。では、このような問題にどのように対応すればいいのでしょうか。
Cookie規制の対策
着々と進行しつつあるCookie規制ですが、Cookieに代わる技術については未だ開発されていないのが現状です。しかし、Cookieレス時代はすぐそこに迫っているため、企業は対策を講じる必要があります。
ここでは、Cookieの代わりとして効果的なマーケティング手法を2つご紹介します。
コンテキストターゲティング
Cookieの非推奨に伴い、注目を集めているマーケティング手法がコンテキストターゲティングです。コンテキストターゲティングとは、WEBページに記載されている内容や画像などをAIが分析し、それらに関連する広告を表示することです。
Cookieはユーザーの行動履歴を追跡できる点がメリットですが、過去の履歴のため現在のニーズとは異なる可能性があります。その点、今現在ユーザーが興味のある記事に合った広告を表示できるコンテキストターゲティングは、ユーザーのアクションを促進しやすいといえます。
コンテンツマーケティング
Cookieレスによってユーザーニーズの分析から効果的な広告を表示することができなくなると、広告に依存しない集客方法が重要となります。
コンテンツマーケティングは、SNS運用など企業が保有するメディアを通して広告費をかけずに集客できるため、有効な手法の1つとなります。
また、オウンドメディアによる企業情報の拡散によって自社とユーザーとの接点を増やすことができれば、新規ユーザーの獲得だけでなく、リピーターとしての長期的な関係を築くこともできるでしょう。
まとめ
今回はCookieレスを引き起こす原因や、それに伴うマーケティングの変化・対策について見てきました。個人情報の取り扱いが見直されていることでCookieの利用規制も厳しい状況です。
Cookieの機能全てが制限されるわけではないものの、今までCookieの恩恵を受けてきた広告会社や、広告を前提としたマーケティング手法に影響を及ぼすことは間違いありません。したがって、広告に頼らないマーケティング手法がより一層重要となるでしょう。