PWAはスマホアプリ（ネイティブアプリ）とは大きく異なる技術であることは知っていますか？
「PWA」はWEBサイトをまるでアプリのように見せる技術を指します。Webエンジニアの方であれば耳にしたことはあるかと思いますが、スマホアプリと比べるとまだまだ一般的な言葉ではありません。
PWAについて検索すると、概要はもちろんアプリとの違いについての検索結果が多いと感じます。そこで、本記事ではPWAとアプリの比較を主軸とするとともに、スマホ、特に日本において高シェアを誇るiOSのバージョンアップによる影響について見ていきます。
PWA化したサイトとスマホアプリは何が違うのか
PWAはスマホアプリと同等の機能性をWEBサイトで実現するための技術を指します。
スマホアプリと異なるポイントや、反対にPWAの方が優れているポイントがあります。
ここでは、PWAとネイティブアプリの違いについて以下の3点を解説していきます。
アプリストアからのダウンロード・インストールが不要
一般的にスマホアプリを利用する場合、Apple Storeなどからアプリをダウンロードする必要があります。しかし、PWAはブラウザで閲覧しているWEBサイトをホーム画面に追加するだけでまるでアプリのようにWEBサイトを閲覧することができます。
ユーザーに手間を取らせないだけでなく、事業者側もアプリ開発やアプリストア掲載の審査が不要であるため双方にとってメリットがあります。
また、PWAはスマホアプリと異なり、定期的な保守・メンテナンスが最低限で済むため、莫大なコストがかからないことは最大のメリットといえるでしょう。
一方で、PWAはアプリストアに掲載がされないため、ユーザーが気づきにくいことと、PWあとしての利用方法を知らないことが大多数を占めるため、ホーム画面追加を促すよページを用意することが必要でしょう。
アクセス解析方法
アクセス数を把握したい場合、アプリではダウンロード数やアンインストール数がストアから表示されますが、ダウンロードする際にストアを介さないPWAは他にアクセス解析方法を設定しておく必要があります。
その点、特別なツールなどは必要ないためアクセス解析自体は困難ではありません。WEBサイトにおけるコンバージョンなどを測定する際に利用されるGoogleアナリティクスをPWAの分析にも活用することが一般的となります。
マルチデバイス対応
スマホアプリの場合、iOSとAndroidなどOS別に仕様を用意してアプリを開発する必要があるため、膨大なコストがかかります。
一方でPWAはブラウザ上で動作するため、デバイスごとに開発する必要がありません。
ChromeやSafariといった複数のブラウザでPWAは対応しているため、PCなどでも利用が可能です。スマホでもPCでも見た目上はホーム画面やデスクトップ上に置かれたショートカットのようなイメージです。
PWAがもたらす最大の強み「WEBプッシュ通知」
PWAの実装による一番の目玉機能と言えばWEBプッシュ通知（ブラウザプッシュ通知）でしょう。
プッシュ通知は、それまでスマホアプリの特権として利用されてきましたが、PWAの実装に伴いWEBサイトからもプッシュ通知することが可能になりました。
従来のプッシュ通知、つまりアプリプッシュ通知では、ユーザーがアプリを開いていなくても事業者側から能動的に情報を提供することができる利点がありますが、ユーザーがアプリをダウンロードしなければならないという前提条件がありました。
このデメリットを解決したのがPWA技術の機能のひとつであるブラウザプッシュ通知です。いわゆるWEBプッシュ通知です。
アプリ利用者だけでなく、通知を許可をしたユーザー全員を対象にプッシュ通知を送ることができます。事業者から積極的にアプローチできるプッシュ通知によって、ユーザーとの接点を増やすことができるため、エンゲージメント向上に寄与できることは間違いありません。
プッシュ通知をはじめとする様々な機能をPWAによってサイトに導入することができるため、サイトの機能性がはるかに向上するとして注目されています。
そんな利便性の高いWEBプッシュ通知ですが、日本でのシェアが4割を超えるiOSではPWAを利用できるようになったiOS 11.3の時にはプッシュ通知はPWAの機能として利用できませんでした。
そのため、日本ではネイティブアプリに代わるシステムとまではいかないということが課題のひとつでした。
iOS16の実装によるPWAの今後
2022年6月6日に開催されたWWDC（世界開発者会議）において、Apple社は2023年にiOS16でWEBプッシュ通知を利用可能にする予定であることを発表しました。
そして2023年3月、iOS16.4よりWEBプッシュ通知の機能が実装されました。
これにより、およそ日本の半数を占めるiPhoneユーザーに対して、企業はWEBプッシュ通知を活用したマーケティング戦略を立てることができるようになります。
これに加えて、そもそもWEBプッシュ通知はPWAの機能の1つに過ぎません。その他の機能として例えば、オフライン状態での表示やホーム画面への追加、生体認証までもがアプリを必要とせずとも利用可能です。
iOSでWEBプッシュ通知機能が解禁になった今、その話題性とともにPWAの他の様々な機能についても注目度が高まり、今後さらに利用者が増加することが予想できます。
まとめ
本記事ではPWAとアプリの違いに焦点を当てて解説しました。
PWA自体はアプリよりも優れている点があるものの、デバイスごとで利用できる機能に制限があったことがPWAの普及率に影響を与えていたことは間違いないでしょう。
PWAがアプリに負けないくらい高い機能性・利便性を有するだけでなく、今回のiOSのバージョンアップによって「PWAで利用できる機能」に幅が広がったことは、今後のPWAユーザー増加のきっかけとなるでしょう。
私たちはWEBプッシュ通知サービス「PUSH ONE」を提供するなかで、PWA化のサポートも実施しています。
PWAは、スマホアプリを持たないECサイトや予約サイトを運営されている事業者にとっては、ぜひおすすめしたい機能なので、もしご興味持っていただけそうであればぜひお問い合わせください。